抄録
変色性アルジネート印象材5種を強酸性水6種とハイクロソフト酸化水に浸漬したときの経時的寸法変化を測定した.その結果, いずれのアルジネート印象材も機能水浸漬直後, 急激に膨張した.その後, 粉末タイプのものは, ハイクロソフト酸化水に浸漬すると膨張を続けたが, 強酸性水中では収縮した.また, アルジネート印象材種の寸法変化への影響は, 機能水種を変えたときと比較して大きかった.Escherichia coliを付着または練和により強制混入した変色性アルジネート印象材1種について, 強酸性水1種あるいはハイクロソフト酸化水のいずれかに浸漬したときの殺菌効果を検討した.その結果, 機能水を作用させると1分以内で印象材表面に対する殺菌効果は認められた.しかし, その表面にせっこうを流し込むと, せっこう表面には少数ではあるがE.coliが確認された.また, E.coliを強制混入した印象材の表面から1mm内側では, 殺菌効果は認められなかった.