抄録
F含有ヒドロキシアパタイトの物理化学的特性を検討するため, フッ素供給濃度の広範囲にわたってF含有アパタイトを合成した(80℃, pH7.4).X線回折および化学分析の結果, F含有量が2mmol/g(フルオロアパタイトのF含有量)以下ではF含有ヒドロキシアパタイトが生成し, それ以上ではフルオロアパタイトに混ざってCaF2が生成しているのが確められた.F含有ヒドロキシアパタイトの結晶性は, F-イオンを含まないヒドロキシアパタイトに比べて, F含有量とともにいったん増加した後, 比較的低F含有領域で大幅に減少し, フルオロアパタイトのF含有量に近づくにつれ再び増加した.一方, 溶解度は, 低F含有領域で急激に低下した後, 緩慢な減少を続け, F含有量が2mmol/g以上の領域ではほとんど変化しなかった.