歯科材料・器械
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原著
チイラン系二官能性モノマーで表面処理した貴金属合金に対するレジンの接着強さ
門磨 義則
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2002 年 21 巻 3 号 p. 157-164

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抄録
貴金属に対する接着性モノマーとして,チイラン系二官能性モノマーである2,2-ビス(メタクリロイルオキシメチル)プロピオン酸3,4-エピチオブチル(EP2BMA)を用いた.EP2BMAをエタノールに溶解させることにより,2種類の貴金属用表面処理剤を調製した.被着体として,金合金,金銀パラジウム合金及び銀合金を用いた.鏡面仕上げした合金表面を表面処理剤で処理して1日放置後,チイラン濃度が高い場合(1mol%)には余剰モノマーを除去するために表面を洗浄した.2個の合金試料をMMA-PMMA系レジンで突き合わせ接着させて,2,000回の熱サイクルを加えた後,引張接着強さを測定し,引張試験後の破断面の様相を観察した.EP2BMAを用いて表面処理することで接着強さは有意に向上した.重合開始剤としてTBBOを用いた場合,EP2BMAの効果は9,10-エピチオデシルメタクリレート(EP8MA)の効果に匹敵した.一方,BPO-アミン系重合開始剤の場合,EP2BMAで処理した銀合金に対する接着強さは,EP8MAと比べてかなり低下した.
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© 2002 一般社団法人 日本歯科理工学会
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