歯科材料・器械
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原著
結紮用エラスティック・リングの理工学的特性について
加藤 博重小林 廣之清水畑 明大島 久美子北野 誠弓柴崎 好伸福原 達郎
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1987 年 6 巻 2 号 p. 183-189

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抄録
 フル・ブラケット法における結紮は, 歯の移動にとって重要な役割を持っている.
 本報では, 熱硬化性ポリウレタンゴムからなる新しい結紮専用のOリング・エラスティックを試作し, その理工学的特性と臨床的意義について検討を加えた.試料としてはOリングと同型の既に市販されている5種のリングを用い, 吸水試験, 引張試験, 永久伸び試験の基礎的実験を行い比較検討した.その結果と臨床的な関連についての結論は次の通りである.
 1)全試料において, 37℃蒸留水中30日間浸漬後の吸水量は, 差を認めなかった.
 2)全試料が, 臨床上の拡大量に十分な伸びと強度を示した.
 3)条件別の引張試験からOリングは他の試料より総合的に優れた特性を認めた.
 4)Oリングは最も小さい永久変形であった.
 5)Oリングの持続性を有する優れた弾性から, 結紮のみならず歯に対して均一な矯正力の適応が可能と考えられた.
 6)Oリングを用いた結紮の着脱操作は容易であることが判明した.
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© 1987 一般社団法人 日本歯科理工学会
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