発達心理学研究
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「心の理論」成立までの三項関係の発達に関する理論的考察 : 自閉症の諸症状と関連して
熊谷 高幸
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2004 年 15 巻 1 号 p. 77-88

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抄録

Baron-Cohen (1995)は,「心の理論」メカニズム(ToMM)の形成に先行するものとして共有注意メカニズム(SAM)の形成を位置づける発達段階モデルを提案している。しかし,健常児における,SAMの形成年齢(1歳前後)と初期のToMMの形成年齢(4歳頃)との間には3年間という開きがある。また,両者には共通性と共に,大きな構造的な差異があると考えられるため,何らかの中間的な段階が存在する可能性がある。本研究では,SAMとToMMを三項関係という共通の枠組みで捉え,その上で,空間・時間・人称関係の側面について,両者の構造的な差異を分析した。その結果,2つの中間的な段階が存在することが推論され,健常児と自閉症児の様々な発達現象と関連づけながら,「心の理論」に至るまでの4つの発達段階のモデルを構築した。すなわち,三項関係の基本型である段階I,<いま・ここ>の内外や直前・直後の活動表象ができる段階H,過去や未来の出来事を展望する中で,<わたし>や<あなた>の,より客観的な活動表象ができる段階III,そして,仮定事態からの視点を持つことによって<彼/彼女>のような3人称的人物の主体的立場を理解できるようになる段階IVが設定された。

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© 2004 一般社団法人 日本発達心理学会
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