抄録
本研究では,キリスト教主義学校生徒のキリスト教における「宗教性」の発達および援助行動との関連について検討した。まず,Glock(1962)およびVerbit(1970)による「宗教性」に基づいた中高生版宗教意識尺度,宗教行動尺度,および援助行動尺度を作成した(対象者1,999名)。次に,キリスト教主義学校生徒(1,881名)を対象に,キリスト教における「宗教性」の発達的差異を検討した。その結果,「クリスチャンであること」と「家族がクリスチャンであること」がキリスト教における「宗教性」の高さを示す要因となることが示唆された。また,一部のキリスト教における「宗教性」では,学校段階による発達的差異がみられることが示唆された。最後に,中学・高校生クリスチャン(183名)を対象に,キリスト教における「宗教性」と援助行動との関連を検討した結果,親がクリスチャンではない「クリスチャン一世」と親がクリスチャンである「クリスチャン二世」間では異なる特徴を持つことが示唆された。