発達心理学研究
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児童期における見かけの泣きの理解の発達 : 二次的誤信念の理解との関連の検討
溝川 藍子安 増生
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2008 年 19 巻 3 号 p. 209-220

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抄録

見かけの泣きが,それを見た他者に誤信念を抱かせうることの理解は,いつ・どのように発達するのだろうか。本研究は,二次的誤信念の理解の獲得との関連から,その理解の発達について検証を行った。Mizokawa & Koyasu (2007)からは,人が本当は泣いているように見えても,本当は泣いていない場合があることの理解は,6歳児にはできるが,4歳児にはできないことが示されている。しかし,6歳児は見かけの泣きが他者に誤信念を抱かせる(泣いていると思い込ませる)可能性についての理解を示さなかった。本研究では,525名の児童を対象に,「泣き課題」(Mizokawa & Koyasu (2007)と「二次的誤信念課題」(林,2002)を含む質問紙調査を行った。全ての課題は4コマのイラストとともに提示された。泣き課題は,2つの見かけの泣き課題と1つの本当の泣き課題から成り,どの課題でも主人公は泣いているように見えるというものであった。各課題の後で,子どもは,「主人公は,本当に泣いているか。」及び「他者は,主人公が本当に泣いていると思うか。」について尋ねられた。結果は,1年生から4年生にかけて,見かけの泣きが生む他者の誤信念の理解が進むことを示した。さらに,この理解と二次的誤信念課題の正誤との間に,有意な偏相関が得られた。本研究から,二次的誤信念の理解は,他者の情動理解の重要な認知的基盤であることが示された。

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© 2008 一般社団法人 日本発達心理学会
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