発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
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遊び研究における「歴史へのまなざし」と「実践への参加」
河﨑 道夫
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2016 年 27 巻 4 号 p. 267-275

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抄録

遊びをテーマとする発達心理学研究の一つの方法論が問題提起された。著者は,研究者が願いをもち,社会的実践に参加することによって,はじめて意味ある事実に遭遇すると考える。発達心理学の研究にあたって,研究者は,当の研究対象としての子どもや青年となんらかの形で人間関係を結び,影響を与えていることを自覚しなければならない。実践は常に地域と時代とに規定されそこで行われる。したがって問題とする研究テーマの歴史的根拠が分析されるべきである。本論では子どもの遊びの歴史と,遊びを規定する社会的歴史的条件のいくつかが論じられた。同様に,発達心理学で問題となる「発達」そのものの歴史性をとりあげ,必然的に現実の発達は,「標準」の逸脱ではなく,ローカルでユニークな性質をもつことが論じられた。

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© 2016 一般社団法人 日本発達心理学会
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