発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
原著
幼児による被害場面における状況評価と感情強度の評価:被害者が自己である場合と他者である場合の比較
浜名 真以
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キーワード: 幼児, 感情, 敵意, 意図, 能力
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2018 年 29 巻 3 号 p. 125-132

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抄録

幼児期を通して,子どもは特定の状況でどのような感情を経験するかを理解する感情推論の能力を発達させていく。先行研究から,幼児は感情の経験主体が他者である場合よりも自己である場合の方が,ネガティブな状況に対してポジティブな感情を推論することが示されている。本研究では被害場面を取り上げ,他者条件(被害者が他者である場合)に比べ自己条件(被害者が自己である場合)の方が,状況の解釈において幼児がより楽観的な評価をするか,ネガティブな状況において推論するネガティブ感情の強度をより低く評価するかを検討した。参加者は4歳から6歳の幼児56名であった。自己条件と他者条件のストーリーを聞かせ,それぞれについて加害者の敵意,被害者にとっての困難度,被害者の復元能力,被害者が経験するネガティブ感情の強度を評価させた。分析の結果,先に自己条件,その後で他者条件について尋ねた場合,他者条件に比べて自己条件において,幼児は加害者の意図を好意的に評価することが明らかとなった。さらに,他者条件に比べて自己条件において,被害者にとっての困難度をより低く評価すること,被害者の復元能力をより高く評価すること,その状況で被害者が経験する感情強度をより低く評価することも明らかとなった。これらの結果から,幼児期の状況の評価と感情推論の関連が示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本発達心理学会
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