人間工学
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原著
視線入力システムの有効性
-ポイント精度・速度を保証する条件と移動方向の影響の同定-
村田 厚生三宅 貴士森若 誠
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2009 年 45 巻 4 号 p. 226-235

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抄録

本研究では視線入力装置を利用し,視線入力で快適にパソコンを扱えるブラウザを開発するための基礎的な研究として,高いポイント精度,速いポイント速度を保証する条件を同定する実験と視線移動方向の影響を明らかにする実験を実施した.その結果,ターゲットの横方向配置のほうが縦方向配置よりもポイント精度が高かった.両配置ともに,ポイント精度を高めるには,20ピクセル以上のターゲット間隔,40ピクセル以上のターゲットサイズにすべきであることが示された.また,両配置ともにポイント速度を速くするためには,ターゲットサイズをできるだけ大きくすべきで,ターゲット間隔はポイント速度にほとんど影響しないことが示された.また,マウスと視線入力のポイント速度の差は,若年者よりも高齢者のほうが大きくなり,視線入力システムは手指の運動機能の低下した高齢者には有効であることが示唆された.視線移動方向の影響に関しては,下方向のターゲットに対するポイント時間が他方向よりも長くなった.

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© 2009 一般社団法人 日本人間工学会
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