抄録
製造現場では,手作業時や手持ち工具使用時に作業者が上肢を挙上し,静的な筋負担を引き起こすなどの問題が生じている.本研究では,手持ちドライバ使用場面に着目し,ねじ締め作業時の作業面高が筋骨格系負担に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とした.ねじ締めを行う作業台の高さ4種類を実験条件として,センサが組み込まれた装置に手動ドライバを用いてねじを締結するという作業を10名の被験者に行うよう指示した.この結果を筋電図,作業姿勢,押圧力,主観的な負担感及び作業のしにくさの指標を用いて解析したところ,目の高さの条件において筋骨格系負担と主観的負担感が最も大きくなり,上肢挙上が作業者に与える影響が大きいことが示された.また,頭上での作業時には,頸部の後屈により首まわりに大きな負担を与えることも示された.