適切な圧力を身体に付与することで,体型補正,動脈瘤の予防などの機能性が発現される.また,身体への加圧の仕方で快適感も変化する.加圧刺激と心理変化,加圧刺激と生理反応との関係についての研究はあるが,それら全体の相互関係を捉えた研究はない.本研究では,身体を部分的に加圧し,加圧部位と心理状態と生理反応の関係を明らかにすることを目的とした.7名の女性被験者に対し,身体の7部位(下腿,大腿,前腕,上腕,腰部,腹部,胸部)を別々に,加圧幅10 cm,3 kPaで加圧し,主観と心電図との関係を解析した.加圧部位により,心地よさ,くつろいだ気分が異なること,自律神経活動指標のHF,LF/HFの挙動が異なることを明らかにした.また,腹部はくつろいだ気分でないがHFが高い傾向を示し,加圧下では,圧反射などの生理反応が心理変化による生理反応よりも強く表れるケースがあることが示唆された.