人間工学
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原著
松葉杖のグリップ径が杖使用時における手部の負担に及ぼす影響
横田 知明村木 里志
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2014 年 50 巻 5 号 p. 286-293

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抄録

本研究は松葉杖使用時における手部および手関節の負担が少なく,握りやすい,松葉杖に適したグリップ径を求めることを目的とした.被験者は健常な若年成人男性16名であった.太さの異なる6条件(直径25,30,35,40,45,50 mm)のグリップを装着した松葉杖を用いて,左側下肢完全免荷3点歩行をした際の浅指屈筋および総指伸筋の筋電図,右手関節の掌背屈方向の角度変位,右手掌面に掛る圧力分布および松葉杖使用感に関する主観評価を計測し,負担を評価した.太いグリップ条件(40,45,50 mm)では手掌面への圧力が有意に低下した.また細いグリップ条件よりも手関節が背屈する傾向が見られた.一方で,細いグリップ条件(25,30 mm)では浅指屈筋の筋活動量が増加していた.太さが35 mmのグリップは最も握りやすく松葉杖が扱いやすいと評価された.以上の結果より,若年成人男性では,手長の19~22%にあたる直直径35~40 mmのグリップが松葉杖には適していることが示された.

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© 2014 一般社団法人 日本人間工学会
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