人間工学
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原著
福島第一原子力発電所における冷温停止状態達成過程に着目した教訓導出
吉澤 厚文大場 恭子北村 正晴
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2018 年 54 巻 3 号 p. 124-134

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抄録

東京電力㈱福島第一原子力発電所は,東日本大震災による電源喪失等によって,放射性物質を大量に放出する過酷事故に至ったが,その後冷温停止状態を達成した.しかし,福島第一原子力発電所事故に関するさまざまな機関による調査報告書は,事故に至った過程に着目している一方で,事故の拡大の防止や被害の減少についてはほとんど着目していない.本研究は,福島第一原子力発電所の3号機における,冷温停止状態達成までの過程に着目した.公開データに基づき,事故の発生から冷温停止状態達成に至るまでの時列を整理し,それらを人間工学的視点によって行為群を分類した上で,状況の回復に重要な意味をもつ対処をm-SHELモデルを援用して分析した.このようなアプローチにより,状況の回復に必要な行為に関する新たな教訓を得た.

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© 2018 一般社団法人 日本人間工学会
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