情報機器で知的作業を行うユーザーが周辺視野で認知しやすい通知機能の設計指針をつくるため,多種類の「動き」の情報を付与した視覚刺激が気づきやすさと作業集中性に及ぼす影響を検討した.中心視野にあるメインディスプレイ上で暗算作業を行う実験参加者20名に対し,周辺視野にあるサブディスプレイ上に7種類の動き「瞬時」「透出」「拡大」「縮小」「水平」「垂直」「点滅」を個々に付与された視覚刺激を提示し,心理指標,行動指標および眼球運動から総合的に比較評価を行った.実験の結果,水平と拡大の動きが気づきやすさや意味伝達性が有意に高く,さらに,最終的な自由選択においても水平と拡大だけが通知のない知的作業課題のみ条件以上の選好票を集めた.そして,気づきやすさと作業集中性の関係性はトレードオフではなく,本研究の先行研究の結果を支持する有意な正の相関(両立性)が認められた.総合的には,選好を優先する場合は水平,意味伝達性を優先する場合は拡大の動きの情報を通知のデザインに取り入れるのが好適であることが示唆された.