人間工学
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エンジン音の音像変化による覚醒度向上効果の評価
伊藤 一也
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2021 年 57 巻 5 号 p. 284-287

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抄録

近年,交通事故による死者数は減少傾向ではあるが,死亡事故における漫然運転や過労運転の割合は漸減もしくは増加傾向にある.漫然運転や過労運転による事故を防ぐためには,ドライバーの覚醒度が低下した場合に適切な方法で覚醒度を向上させることが重要となるが,警報音を用いて覚醒度低下の警告を促す場合,煩わしさなどの影響を生じる懸念がある.本研究の目的は,ドライバーが運転中常に聴いているエンジン音の音像表現による覚醒度の向上効果を検証することである.そのため,低覚醒状態のドライバーに音像が変化するエンジン音をドライバーへ提示した場合において,覚醒度変化と心拍数変化で効果をドライビングシミュレータで検証した.その結果,エンジン音の音像表現による覚醒度向上効果は警報音と同等であることが示された.一方,警報音を提示した場合と比較して心拍数の変化が小さい傾向が示されたが有意差は見られなかった.

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© 2021 一般社団法人 日本人間工学会
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