日常生活や労働シーンにおいて,妨害刺激があるなかでも注意を集中させなければならないことがある.妨害刺激に関する研究は静的な刺激に焦点を当ててきたが,動的刺激の方がより強い妨害効果を持つと考えられる.特に,周辺視野に動的な妨害刺激が存在する場合,視覚探索の効率に大きく影響する可能性がある.そこで本研究では,知覚負荷と偏心度を条件として,周辺視野に存在する動的刺激が視覚探索課題に及ぼす影響を事象関連電位のN2pc成分とPd成分により評価した.N2pc成分の結果から,動的刺激は網膜中心に近い偏心度10°で特に注意を引きつけたことが明らかとなった.さらに,Pd成分の結果から,網膜中心からやや離れた偏心度20°付近で注意を抑制しやすいが,より網膜周辺部に近いと高知覚負荷では抑制しにくくなる可能性が示唆された.動的刺激の空間的特性は視覚探索課題における注意の配分に知覚負荷よりも顕著な影響を及ぼすことが分かった.これらの知見は,視覚探索における注意のメカニズム,特に動的刺激を処理する際の注意配分のメカニズムを理解するための新たな視点を提供するものである.