人間工学
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微細位置決め作業に対する視覚・触覚フィードバックの効果
柴崎 弘圓川 隆夫伊藤 謙治
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1996 年 32 巻 3 号 p. 139-148

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抄録
本研究は, 微細位置決め作業に対する視覚・触覚フィードバックの効果を明らかにすることを目的とし, 親指を用いてノギススライダを位置決めする作業について調査した. 実験1では視覚フィードバックの影響を調べるために, アナログ表示とデジタル表示の比較を行い, アナログ表示が動作時間を短くすることがわかった. 実験2では触覚フィードバックの影響を調べるために, 位置決め分解能を1.0mmから0.01mmまで変化させ, 分解能が小さいほど動作時間が大きくなり, その度合いに被験者による個人差が顕著に現れることを明らかにした. さらに, スライダの時間-変位曲線を粗微動の観点から詳細に検討することにより, 視覚は微動位置決め時に, 触覚は粗動開始時と微動位置決め時の両方に働くことが明らかとなった. 特に微動時における触覚と指による協調動作の滑らかさが重要となり, その技能は動作時間の Fitts の法則からの乖離度により評価しうることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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