人間工学
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床暖房が学習能率に与える影響に関する研究
西川 向一平澤 由美
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1999 年 35 巻 3 号 p. 177-184

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抄録
床暖房環境が学習に与える影響を計測するため, 被験者実験を実施して検討を行った. 学習の定義は様々であるが, 学習を集中力, 注意力, 記憶力に基づく精神作業と定義し, 環境がそれぞれの作業に与える影響の計測を行うこととした. 実験では, 床暖房方式の頭寒足熱型とその逆の環境である頭部が暑く足下が寒い頭熱足寒型の環境を設定し, それぞれの環境で学習を計測して比較を行った. その結果, 集中力を計測するために行った連続加算テストでは, 床暖房環境では作業量の降下が見られず集中力が持続していることが確認できた. ブルドン抹消テストによる注意力の計測では, 床暖房環境下で高い注意力が現れていることを確認した. また, 記憶力のテストでは, 短期記憶の再生, 及び記憶の再認する2つのテストにおいて床暖房環境はともに良い結果であった. これらの結果は, 床暖房環境が学習を行うのに適した環境であること示唆している.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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