32 巻 (2005) 4 号 p. 439-441
【要旨】当院におけるselective cerebral perfusion (SCP)は脳循環を中等度,体循環を軽度低体温にて灌流するcool head warm body(CHWB)法を基本としている。今回,更なる脳保護の可能性を探るためステロイド投与の有用性を検討した。1997年2月~2005年9月までにSCP+CHWB法を施行した待期的開心術86例。そのうち,ステロイドを投与した26例(S群)と非投与の60例(N群)の2群に分けた。ステロイドは貯血槽内へ平均523±106mg投与した。両群間で術式,手術時間,体外循環時間,大動脈遮断時間,SCP時間,脳送血量および麻酔薬投与量に差はなかった。ICU帰室後の覚醒時間,抜管時間,ICU stayは両群間に差はなかった。術後脳合併症はS群2/26(7.7%)例(小脳梗塞1例,多発性脳梗塞1例),N群4/60(6.7%)例(覚醒遅延2例,脳幹梗塞1例,多発性脳梗塞1例),病院死亡はS群1/23(4.3%)例,N群1/60(1.7%)例とそれぞれ両群間に差はなかった。今回の検討ではSCP+CHWB法施行時におけるステロイド投与の脳保護への有用性は明らかにできなかった。