教育心理学研究
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原著
高校英語における予習方略と授業内方略の関係
—パス解析によるモデルの構築—
篠ヶ谷 圭太
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2010 年 58 巻 4 号 p. 452-463

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抄録

 本研究では, 高校生の英語学習を対象として, 予習時に使用される学習方略と, 授業中に使用される学習方略の関係について検討を行った。まず, 予備調査を実施し, 予習時の学習方略, 授業中の学習方略に関する質問紙尺度を作成した。因子分析の結果, 予習方略については「準備・下調べ方略」, 「推測方略」, 「振り返り方略」, 「援助要請」の4因子, 授業内方略については「要点・疑問点把握方略」, 「メモ方略」, 「受動的方略」の3因子が抽出された。高校生1,148名に本調査を実施し, パス解析を用いて英語学習動機, 予習方略, 授業内方略の関係モデルの構築を行った結果, 予習時の準備・下調べ方略は授業中の要点・疑問点把握方略やメモ方略と正の関連を持つことが示された。また, 予習時の推測方略は授業中の要点・疑問点把握方略と正の関連, 受動的な方略と負の関連を持つことが示された。また, 予習方略と授業内方略の間に直接のパスを想定しないモデルよりも, そのようなパスを想定したモデルの方がデータに対して高い適合度を示したことから, 予習方略と授業内方略の間には, 学習者の動機づけによって説明できない直接の関係が存在する可能性が示唆された。

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© 2010 日本教育心理学会
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