2011 年 59 巻 1 号 p. 39-50
本研究では, 就学前児が属性間の因果関係に基づいて, カテゴリー判断の際に, 知覚的に観察不可能な内的属性に着目することができるかどうかについて調べるために2つの実験を行った。実験1では, 4・5歳児群を対象にして, ある生物についての内的属性と行動特性の因果関係を明示することによって, 原因となる内的属性に着目したカテゴリー判断を行うかどうかを調べた。その結果, 5歳児群では, 因果関係を明示するかどうかにかかわらずに, 内的属性に着目することが示されたが, 子どもが行動特性の原因となっていることを理解したうえで内的属性に着目したかどうか明確ではなかった。実験2では, 3・4・5歳児群を対象に, 内的属性が行動特性の原因となっているという因果関係を理解しているかどうかを, カテゴリー判断とあわせて調べた。その結果, 4歳児群から, 内的属性と行動特性の因果関係を理解していたが, 一貫して内的属性に基づいたカテゴリー判断を行うようになるのは5歳児群からであることが示された。