教育心理学研究
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原著
幼児の帰納推論における知識の影響
—外見と分類学的カテゴリー情報の利用—
石田 有理
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2011 年 59 巻 3 号 p. 330-341

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抄録

 本研究では, 幼児の帰納推論における知識の影響を検討するために, 2つの実験を行った。実験1では, 3・4・5歳児群を対象にして未知属性の一般化を行う際に, カテゴリー判断に基づいて帰納推論を行うかどうかを調べた。標準刺激に対して新奇な属性を提示し, 下位カテゴリー, 基礎カテゴリー, 上位カテゴリー, 無関連カテゴリーの各テスト刺激に対して属性があてはまるかどうかを尋ねた。また, 標準刺激と仲間であるものをテスト刺激から選択させた。その結果, 仲間だと判断していても, 外見が違うと未知属性をあてはめにくくなることが示された。実験2では, 4・5歳児群を対象にして, 未知属性と既知属性の帰納推論を直接比較した。その結果, 未知属性にくらべて既知属性においては, 分類学的カテゴリーに基づく推論が多かった。また, 実験1・2を通して, 5歳児群になると分類学的カテゴリーへの着目が増加していた。幼児は, 属性に関する既有知識を利用して帰納推論を行っていると考えられる。

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© 2011 日本教育心理学会
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