教育心理学研究
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原著
失敗に対する価値観の構造
—失敗観尺度の開発—
池田 浩三沢 良
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2012 年 60 巻 4 号 p. 367-379

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抄録

 本研究は, 失敗に対する捉え方や価値観を意味する失敗観尺度を作成し, その信頼性と妥当性の検討を行った。研究1では, 自由記述の回答からKJ法を用いて失敗観の構造を明らかにし, それと関連する先行研究を基に尺度の原案を作成した。そして, 大学生246名を対象に調査を実施し, 失敗観はネガティブ感情価, 学習可能性, 回避欲求, 発生可能性の4因子で構成されていることを見出した。研究2では, 759名の大学生を対象に調査を実施し, 尺度の内的整合性と時間的安定性を含めた信頼性, そして関連する尺度との関係性から妥当性を確認した。最後に, 研究3では, 大学生187名を対象に場面想定法による調査を実施したところ, どのような失敗観を持つかによって, 失敗に対する原因帰属やその後の対処行動が規定されることが示唆された。

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© 2012 日本教育心理学会
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