教育心理学研究
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原著[実践研究]
初等教育において習慣化可能な作文課題および実施方法の検討
—リレー作文を使用して—
小野田 亮介
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2012 年 60 巻 4 号 p. 402-415

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抄録

 本研究では, 複数人が数行ずつ文章を書き加えるリレー作文を使用し, 作文の習慣化可能性および習慣化の効果について検討した。具体的には, リレー作文の実施過程, 学級風土, 読み書き態度の3観点から習慣化可能性を検討し, 文章産出の観点から習慣化の効果について検証した。小学校3年生の1学級27名を対象にリレー作文を3週間実施し, 児童の取り組み方と実施の影響について分析を行った。その結果, 1)リレー作文は短時間での実施が可能であること, 2)リレー作文を媒介した児童関係が構築され, 作文への関与を支援する学級風土が形成されること, 3)リレー作文への取り組みを通して, 作文に苦手意識をもつ児童の書き態度に正の変化がみられること, 4)リレー作文の実施後に児童の文章産出量が上昇すること, の4点が明らかになった。以上の結果から, リレー作文は習慣化可能な作文課題として十分な適性を備えていること, およびリレー作文の習慣的な実施が児童の書く行為に正の影響を及ぼすことが示唆された。

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© 2012 日本教育心理学会
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