本研究では, 小・中学生を対象として学年間および学校移行時における学習観の変化について検討を行った。予備調査から学習観尺度を作成し, 小学校5年生から中学校3年生を対象として, 学年をまたいで半年おきに3度質問紙調査を行った。また, 2回目, 3回目の調査では, 学習方略使用との関連も検討した。学習観尺度について「意味理解志向学習観」「暗記再生志向学習観」「学校依存的学習観」「義務的学習観」の4因子が抽出された。学習観の尺度得点について調査時点ごとに横断的な分析を行ったところ, 全時点で小学5年生が中学2年生よりも意味理解志向学習観を持ち, 1回目, 3回目において中学2年生が小学6年生よりも暗記再生志向学習観を持っていた。小学6年生から中学1年生までの縦断的変化を2クラスターに分けて分析した結果, 一方の群では, 時点に伴う意味理解志向学習観得点の低下と暗記再生志向得点の上昇が見られたが, もう一方の群では見られなかった。また, 意味理解志向学習観がプラニング方略, モニタリング方略, 認知・作業方略の各学習方略使用と相関が最も高く, 意味理解志向学習観の重要性が示唆された。