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教育心理学研究
Vol. 65 (2017) No. 1 教育心理学研究 p. 106-119

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http://doi.org/10.5926/jjep.65.106

原著

 医学的診断基準における算数能力の障害は算数障害として位置づけられ, 数処理システムや数的事実・手続き的知識からなる計算システムの問題から生じる計算障害がその中核と考えられている。算数数学の学習困難にはこれまでの研究から, 神経心理学的欠陥に基づく複数のサブタイプが提唱されてきた。本研究では数学的思考の手続き的知識と概念的理解の2つの区分を使って過去のサブタイプを分類し, 新たな知見も加えた基準を用いて算数のつまずきの具体的な症状の分析を行った。男19名, 女12名からなる対象児31名は1名を除きWISC-III, WISC-RでFIQ90以上で, 算数の評価, 治療教育を主に小学校高学年以降に行っている。日本の文部科学省の学習障害の定義にも照らし合わせて算数能力の障害と考えられる4つの群が得られた。計算手続きの問題が顕著な2つの群は明らかに算数障害と考えられたが, 具体物の配分・分割に著しいつまずきを示す群や, 操作の内化に重要なイメージが思い浮かばない群の対象児には数式の意味理解など概念的理解の問題が顕著に認められた。算数のつまずきを, 数学的思考の視点から概念的理解を含めて検討することの重要性が示唆された。

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