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教育心理学研究
Vol. 65 (2017) No. 1 教育心理学研究 p. 145-159

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http://doi.org/10.5926/jjep.65.145

原著[実践研究]

 本研究では, 学校知や利用知識の性質についての信念が変容する条件が, 従前の授業観と学習活動から立ち現れる新たな世界観との間で生じる葛藤の解決であると想定した。授業を協同的活動の場として捉えるための利用知識に関する信念の促進を目指す2つの教育実践を実施した。研究1では心理学の入門科目を受講した70名の学生を対象とした。この授業は, 教員が学生に授業内容に関連した質問を考えさせディスカッションを行い, 翌週にフィードバックするというものであった。介入の結果, 3分の1の学生が利用知識をより状況依存的で幅広く適用可能だと捉えるようになったが, 残りの学生は, むしろ低く見積もるようになった。研究2では, 37名を対象にした。この授業では, 質問が知識獲得のきっかけになるだけではなく, 自他の考えを吟味・検討するための知的資源にもなるという質問の意義を明示した。その結果, 学生は学校知をより客観的で適用可能なものとして捉えるようになったが, 介入2か月後にはこの効果は見られなくなった。他者のものの見方・考え方を知る“楽しさ”は葛藤を解消していく上で重要だが, 単一の授業による介入の効果は限定的であることが示唆された。

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