教育心理学研究
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原著
中学1年生における内的作業モデルが登校回避感情に及ぼす影響と学級機能との関連
﨑田 亜紀穂髙坂 康雅
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2018 年 66 巻 4 号 p. 276-286

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抄録

 本研究の目的は,中学1年生において内的作業モデルが登校回避感情に及ぼす影響を明らかにし,学級機能の認知によってその影響がどのように変動するかを明らかにすることであった。東京都内の中学1年生295名を対象に質問紙調査を行った。その結果,内的作業モデルのうち,特に回避性が登校回避感情に正の影響を示していた。また,学級機能を低く認知している群では,両価性が登校嫌悪感に,回避性が登校回避感情全般に正の影響を示した。一方,学級機能が高い群,つまり民主的な学級運営が行われている群では,両価性から登校回避感情への影響は弱まるが,回避性から登校回避感情への影響の低減はみられなかった。これらから,学級機能を高めることは,両価性の高い生徒に対しては登校回避感情を抑制するように働くが,回避性の高い生徒の登校回避感情を低減することは困難であることが示唆された。

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© 2018 日本教育心理学会
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