教育心理学研究
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中学校用国語学力検査の標準化について
その一東京全都の規準
渡辺 徹安藤 公平
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1969 年 1 巻 1 号 p. 9-16,61

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抄録

われわれは中学校1年から3年に適用する国語標準学力検査をA・B2種作成した。との検査は語彙 (Vocabulary), 短文読解 (Sentence reading), 長文読解 (Paragraph reading), 文法 (Languageusage), 文学史 (Informationin in literature) の5つの下位検査(Subtests) から成り立つている。標準化の第1段階としてまず東京全都の7地区から公立2中学校を1校ずつサンプリングして本実験を行つた。被検者はA形式1484名, B形式1478名で, それぞれ異る生徒を対象とした。
実施結果についていろいろと統計的な検討を加えたところ, 極めて高い信頼性と妥当性とを有することがあきらかとなつた。すなわち形式Aの検査を実施した3年生100名分についての折半法による信頼度係数は0.97 (ズピアマン・ブラウン公式による修正値) を示し, 学校における国語科の成績と本テスト得点との間の相関係数は0.70から0.88までの高い数値を得た。またA・B両形式の検査が最初の企図のごとく, ほぼ等価的にでき上つたことも実証された。
これらの結果から本検査は中学校生徒の国語学力の評価, 診断に有効に活用され得るものと考える。
東京全都のサンプルの結果によれば, 地域による学力の差には著しいものがあるが, 男女の問には差がないことがあきらかとなつた。
われわれは学力偏差値 (Tスコア) による表示法を用いて規準を作成することとした。
われわれはこれを第1段階として, 更に全国的な国語学力の規準設定に進みたいと考えている。

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© 日本教育心理学会
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