教育心理学研究
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性格I検査項目の反応の変動性に関する研究: I
岩井 勇児
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1963 年 11 巻 4 号 p. 203-209,252

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抄録

質問紙の項目によつてパーソナリティを測定する場合に, ある時点で得られた反応が, どの程度安定しているかが問題である。
標準化された性格検査から選んだ20項目を中学1年生に3日間隔で4回の反応をさせたところ, 4回とも一致した反応を示したのは40%~65%, 平均約50%であつた。同じような18項目を中学2年生に与えて, 同じ検査時間内に2回, 1週間間隔で2回, 5週間間隔で2回の反応の一致率を調べたところ, それぞれ60%~85%, 55%~80%, 50%~70%であつた。この結果から, パーソナリティの側ではあまり変化しないと思われる期間内でも, 反応は安定しておらず, 変動していることがわかつた。
この反応の変動性がどんな要因に基づくかについて調べた。項目に関係する要因として, 反応の分布, 項目内容, 意味のうけとり方, 日常問題にしている事柄かどうか, を取りあげた。いずれにおいても, 一致率の高い項目と一致率の低い項目とでは差がみられた。またどの項目にもよく変動する個人について, 担任教師に評定してもらつたら, 学業成績, 性格特徴共に望ましくない者が多かつた。

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