教育心理学研究
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非行少年の気質に関する実験的研究: II
西村 邦子
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1964 年 12 巻 1 号 p. 37-43,62

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抄録

前回の報告における40項目のテストに関する両群間の差の検討にひきつづき, 今回はP技法による因子分析の結果が報告された。非行群・統制群が別々に因子分析された結果, 両群に5個ずつの因子が抽出された。
非行群因子
I (+) 融通がきかない,
(-) 浮動的
II (+) 硬さを持ち即行的
(-) 硬さがなく行動を抑えられる
II正 (+) 粘り強く正確
(-) 粘りがなく不正確
IV (+) 洞察力のあるじつくり型
(-) 洞察力がなくなげやりな態度
T (+) 洞察力があるが自分流儀
(-) 洞察力がなく他人の意見に動かされやすい統制群因子
I (+) 洞察力がなく不正確
(-) 洞察力があり正確
II (+) 硬さを持ち不正確な即行型
(-) 硬さがなく正確ではあるが判断が遅い
III (+) 粘りがなく権威主義的で洞察力がない
(-) 粘りがあり洞察力があつて自主的
IV (+) 要求が高く柔軟性がない
(-) 要求を高く持たず適当にすませてゆく
I (+) 発展的ではあるが功をあせる傾向
(-) 閉鎖的であるがじつくとりくむ型
これらの因子を大きくまとめて概観すると, 両群とも洞察力とスピードが目立つている。そして非行群ではその2つの特性が硬さと内的衝動性に特徴づけられ, 統制群では要求水準と事態における欲求に特徴づけられている。このことから, 素質的基盤による行動特徴と獲得的基盤による行動特徴とが予備的に考えられた。

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© 日本教育心理学会
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