教育心理学研究
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ろう児に適用した算数プログラム学習の効果
小川 再治
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1965 年 13 巻 4 号 p. 213-219,254

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抄録

予備実験結果には, 特にとりあげるものもないので, 本実験の結果についてまとめる。ろう児小学5年生を実験群と統制群に分けた。両群とも算数授業は週6時間であるが, 内4時間は両群いつしよに授業をうける.残り2時間は, 実験群は市販プログラムシートで学習し, 統制群はドリルに重点をおいた普通授業をうける。また, 2週間ごとに両群に算数学力テストを行なつたところ, 次の結果が得られた。
(1) 実験群の算数学力ののびは, わずかに統制群より大であつたが, 有意差は生じなかつた。
(2) 被験者中いくらかの者は中途でプログラム学習から脱落した。
(3) 実験群はやや文章題と「その他の問題」にすぐれ, 統制群はわずかに計算にすぐれたが有意差はなかつた。だだし算数用語の記銘においては実験群は有意差で統制群にまさつた。
(4) 実験群では知能下位者の学力ののびが統制群をしのいだ。ただしプログラム学習開始後, 両群の知能上位者の学力には有意差を生じなかつた。
(5) 今回のプログラムは, 被験者 (に5) 対し少しステップの巾が大き過ぎる感があつた。
(6) 今回のプログラムは, ドリル学習の面に多少の欠点が感じられた。

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