教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
性格検査項目の反応の変動性に関する研究: II
項目の内容とあいまい性指標について
岩井 勇児
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 14 巻 1 号 p. 15-24,62

詳細
抄録

質問紙による性格検査の精度を高めるために, その基本的単位である項目についての検討が必要である。そこで, 項目の変動性についての研究をすすめてきたのであるが, その材料とする項目について整理しておくことが必要に思われた。そこで, 市販されている中学生むきの性格検査11種類から, 共通に使用されている項目を251組にまとめ, その残りとあわせて500項目を中学生に5段階評定で自己評定させた。そのうち100項目について項目の因子分析を行なりた。
いままでの資料から, 項目の反応分布がかたよっている場合には変動率が低い傾向がみられた。そこで, 変動率から反応分布による影響を除くために, Goldbergのあいまい性指標を用いることにした。因子分析を行なった100項目について, 中学生および大学生の被験者の反応から, あいまい性指標の数値を求めた。その結果, あいまい性指標は, 反応分布と関係なく, 変動率と相関が高いことが確かめられた。
因子分析の結果とあいまい性指標との関係について検討した結果, 情緒不安牢, 神経質, 内向といった性格の内面的な面をあらわす項目は, あいまい性指標が大きいことがみられた。このことは, 質問紙による性格検査を構成する項目として問題になることと思われる。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top