教育心理学研究
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情報処理モデルによる人間の問題解決過程の一研究
江川 清芳賀 純
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1966 年 14 巻 2 号 p. 71-78,125

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抄録

本研究では, 人間の問題解決過程の構造, あるいは機能に影響していると考えられる多くの要因が, 発語思考法によつて得られた31名の被験者 (大学生) のプロトコルに基づいてシミュレートされた (第1実験) 。Fig.1およびTable1に示されるように, このシミュレーションモデルは, 31名の被験者による思考過程の8つの主な類型および下位類型を明らかにした。このモデルは, Table2に示されるように, 中学2年生の新しい母集団で吟味された (第II実験) 。第1および第II実験からの主な結論は:
a) 本実験で示されたような課題解決における思考過程は情報処理モデルを適用することによつて説明されることが明らかになつた。
b) ディジタルおよびアナログの2つの思考法が, 正解および誤答にいたる思考過程のいずれのなかでもみられた。
c) 与えられた課題の知覚およびその知覚に基づいていかに解決するかという方案が問題解決における思考過程を規定している2つの主な要因であることがわかつた。
d) シミュレーションモデルを使用することは, 思考過程を分析するうえで非常に有用であることがわかつた。
本論文の一部は, Stanford大学で開かれた`Research Conference on Learning and the Educational Process' (1965年夏) の思考部門で発表したものに基づいている。なお本論文を構成するにあたつてご教示を賜わつた神戸六学教育学部教育心理学研究室の諸先生方, ならびに実験に協力された同学部学生および附属住吉中学校の諸先生方に謝意をささげる。

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© 日本教育心理学会
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