教育心理学研究
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双生児法による知能の遺伝性に関する研究
詫摩 武俊
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1968 年 16 巻 4 号 p. 237-240,254

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抄録
延べ組数にして543組のMZ, 134組のDZに集団式知能検査を実施した。
どの知能検査の結果においても, またほとんどすべてのサブテストの結果においてもMZ間の相関はDZ間の相関より高く, 知能検査の成績を規定している機能に遺伝性が働いていることは疑い得ない。しかし, 遺伝性の強さは, サブテストの種類によって差があり, 一般に精神作用の速度をとくに必要とする問題, 言語記憶に関する問題, 計算に関する問題, 図形の空間的配置に関する問題では, 遺伝性係数が高く, これに対して過去の経験にてらして判断する問題では低かった。この資料は知能を構成する下位機能の特色について知る一つの手がかりであるが, このデーターの一義的な解決はまだ困難である。
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© 日本教育心理学会
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