教育心理学研究
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適性と学業成績にもとづく高校生の類型化と総合評価および学業成績の予測
多変量解析法による
本明 寛織田 正美
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1969 年 17 巻 3 号 p. 129-143

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抄録

本研究の第1部では, 工業高校生203人を対象として. その知的能力, 興味, 向性 (外向性-内向性), 作業適性などの諸特性を合計25の下位尺度からなる各種の心理検査によって把握し, それらの結果に7教科の学業成績を含めたデータ (合計32個の変量) を主成分分析法 (principal component analysis)によって解析した。
その結果,「理数科的思考」,「一般的適性」,「理数科的興味-文科的興味」など6つの主要な成分が抽出され, 第6成分までで全情報 (32個) の約90%を代表することがわかり, 第1~第3成分の成分得点にもとついて個々の生徒の諸特性の総合的評価と類型化を試みた。
本研究の第2部では, 主成分分析の結果明らかにされた7教科の学業成績とその他の25個の変量との関係に関するいくつかの事実を参考にして, 知的能力, 興味, 向性, 作業適性など合計10個の変量の合成値によって学業成績の良否がどの程度判別できるかを判別分析法 (discriminant analysis) によって検討した。
その結果, これらの合成値は数学と専門科目の成績に対して比較的高い判別力をもつが, 国語, 社会に対する判別力は低いことが明らかにされた。また判別における各変量の相対的影響度 (判別係数) をみると, いずれの教科の成績に対しても外向性がマイナスのウエイトをもつこと, および作業適性がプラスのウエイトをもつことが認められた。

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