教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
検査の尺度構成に関する方法論的研究
肥田野 直柳井 晴夫塗師 斌繁桝 算男高根 芳雄
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 19 巻 1 号 p. 37-51

詳細
抄録

(1) 興味検査と性格検査の尺度構成を, グループ主軸法の適用, 検査における反応歪曲の是正, 項目に対する信頼性係数の情報の適用という3つの新しい観点をふまえて行なった。
(2)興味検査においては, グループ主軸法適用の効果があまり大きくなかったが, 最終的に得られた18尺度において, 主因子で説明される分散の割合が70%を下まわるものはなく, 相対的にかなり等質性の高い尺度が得られたものといえる.
(3)性格検査においては, グループ主軸法適用の効果が大きかったが, 最終的に得られた10尺度において, 主因子で説明される分散の割合が75%を上まわるものがなく, 必ずしも等質性の高い尺度が得られたとはいえない。しかし, 性格検査の尺度としては, 既成の検査と比較してほぼ満足できる結果といえよう。またY-G検査, T. I. 検査を含めて因子分析した結果, 得られた6つの尺度は因子空間において予期した方向性を示していることが確かめられた。
(4) 各尺度の社会的望ましさ (価値) に関する成分を抽出すると, 興味検査においては, 高度の知識や技術を要する男性的興味に関係する尺度, 性格検査においては, 情緒安定性, 社会的外交性などの調和のとれた人格を示す尺度にかなり大きい割合で, 社会的望ましさに関する成分が含まれていることが認められた。
(5)性格検査における妥当性尺度として, 虚構性尺度, 黙認性尺度の構成法について提案した。
(6) 興味検査, 性格検査における各尺度の信頼性係数を折半法によって求めたが, 1, 2の尺度を除いてかなり高い尺度の信頼性が保証された。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top