教育心理学研究
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言語条件づけにおよぼす緊張と弛緩の効果
玉瀬 耕治
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1971 年 19 巻 4 号 p. 202-209

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抄録

本研究の目的は, 被験者に誘発された緊張状態または弛緩状態が, 言語条件づけにおよぼす影響をしらべることであった。MASによる不安得点が極端に高い者および低い者を除いて, 90名の大学生が被験者として用いられた。課題はTeffel型で, 80枚のカードが使用された。各カードには, 4つの人称代名詞と1つの動詞が書かれている。
練習試行の後, すべての被験者は質問紙によって緊張度を測定された。それから強化なしの20試行を与えられ, そこで, 3つの実験条件のうち, いずれかの実験的処理を受けた。緊張群の被験者はGSRの電極板をとりつけられ, それが微妙な心のうごきをとらえるものだとつげられた。弛緩群の被験者は筋肉を弛緩させ, 呼吸を整える訓練を受けた。そして, 統制群の被験者は, その間, 何も実験的処理を受けなかった。このようなことなる実験的処理の後, すべての被験者はふたたび緊張度を測定された。その後, ひき続いて60試行を与えられ, 規準反応に対してフンフンで強化された。この条件づけ試行が終わると, 被験者はみたび緊張度を測定された。また, その直後には, 反応と強化の関係についての意識性と, 実験に対する態度をしらべる質問を受けた。
おもな結果は,(1) 実験的処理はうまく行なわれ, 緊張得点でみると, 第1回目の測定では3群間に差がなく, 2回目および3回目では期待される方向で群差がみられたこと,(2) 言語条件づけは全体としては成立しているが, 3群間に成績の差はみられなかったこと, および,(3) 実験に興味をもった被験者は, 実験に興味をもたなかった被験者よりも成績がよかったことである。

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© 日本教育心理学会
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