教育心理学研究
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可視性ならびに可読性要因の弱視児の読みに及ぼす影響
岡田 明
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1975 年 23 巻 3 号 p. 165-169

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抄録

弱視児は視力が0.3未満のものをいう。かれらはそのほかにも視野が狭く色覚が弱いという欠陥をもつことが多い。弱視児は読書材を目にこすりつけるようにして読む。これらのことが原因でかれらの潜在能力と達成との間に食い違いを生み, いわゆる学習障害に落ち入ることを多くする。かれらのいろいろな学習障害のなかでも特に問題となるものに文章の読みがある。本稿では可視性ならびに可読性要因の含まれた読書材をかれらがどのように読むかの検討を中心にして報告する。弱視児の読みの躓きや読速度を分析することから, かれらに最適の読書材を見出すこともできると考えられる。
可視性legibilityとは読書材の物理的な見えのよさまたは印刷そのものの見やすさのことである。弱視児にとっては活字の大きさや行の長さなどが読みの効率に影響することが考えられる。
可読性readabilityは文章の難易度の客観的な測度である。別のことばで言えば文章の理解しやすさcomprehensibility のことである。弱視児にとっても漢字の多少やセンテンスの長さなどはかれらの読みの効率に影響するものと思われる。

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