教育心理学研究
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説得行動における非言語コミュニケーションの効果
松本 卓三
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1978 年 26 巻 4 号 p. 247-251

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抄録

この実験は非言語コミュニケーションが, 説得の効果にいかに影響するかを研究するために計画された。実験で取り扱われたそれらの非言語コミュニケーションは, 目の凝視, 姿勢, 対人方向, 対人距離であった。非言語コミュニケーションのそれぞれは2つの水準をもっていた。実験は16の条件からなり, 説得者と被説得者はそれぞれ椅子にかけ, お互いに向きあっているという事態でなされた。
被験者は294人の男子の大学生で, そのうち6人は説得者, 288人は被説得者であった。実験の条件ごとに18人の被説得者を割当てた。
説得コミュニケーションは説得者によって述べられた。その話題は「漫画の本を読むことは私達の人生において一層有益である。」ということであった。
非言語コミュニケーションでの説得効果は, 被説得者の意見変化量で測定された。
主な結果は次の通りであった。
1. 説得事態で, 説得者が被説得者の目の凝視をしている時には, 対人方向0°の場合は, 対人方向を右に45°の場合よりも説得に効果的である。
2. 説得事態で, 説得者が被説得者の目の凝視をしていない時は, 対入方向を右に45°の場合は, 対人方向0°の場合よりも説得に効果的である。
説得者が, 被説得者の目の凝視をし, 前後姿勢, 対人方向0°, 近い対人距離の場合は, かなりの説得効果があるだろうという仮説は検証されなかったが, 姿勢, 対人距離も説得に効果があるだろうと考えられるので, 今後も引き続きこうした面の追究をしていきたい。

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