教育心理学研究
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答案返却の方法が学習成果に及ぼす影響の研究
橋本 重治
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1969 年 3 巻 3 号 p. 14-24,52

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抄録

この研究は, 答案返却の方法として, I-無返却, II -単に返却するのみ, III-返却して自己検討, IV-返却して簡単な講評と矯正を加える, の4つを仮定し, それが学習成果に及ぼす効果並に他の2, 3の関聯問題を追求することにあつた。その結果を要約すれば
(1) 返却法III, IVはI, IIに比してたしかに効果的だとの結論を得た。
(2) 返却法IIIとIVとでは, IVがすぐれた方法であると考うべき相当な証拠があがつた。
(3) 方法IとIIについては, 何等有意の差を見出すことはできなかつた。
(4) 以上の結論は, 学習評価の価値に関する著者の基本仮定のいくつかに関係し, それを支持しているようである。
(5) テスト並に答案返却は, 一般的にみて, 能力の高い生徒に対してよりも, 能力の低い生徒に対してがより大きな積極的効果を及ぼした。
(6) 全体を通して最も顕著な進歩を示したのは, 返却法IVを能力劣等群に適用した場合であつた。このことは, 能力の劣つた生徒への返却法としてはIVが最も効果的であることを意味するであろう。
(7) 返却法IIIも亦, IVについで劣等群の生徒の学習に対して効果的であつた。

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© 日本教育心理学会
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