教育心理学研究
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仮名の読字学習に及ぼす絵画化と言語化の効果
今井 靖親
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1983 年 31 巻 3 号 p. 203-210

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抄録

幼児・児童の仮名の読字学習に及ぼす絵画化と言語化の効果を検討するために2つの実験が行われた。
実験1の目的は, 片仮名の読字学習において, 単語の語頭文字の読みに及ぼす単語の熟知度と絵の提示の効果を検討することであった。被験者は平均年齢5歳5か月の幼児80名であった。彼らは, 単語の熟知度の高低, 絵の有無の条件に基づいて4群に配置され, 各被験者に5個の片仮名の読みが教えられた。その結果, 高熟知語を用いて文字の読みを学習した群においては, 絵を提示しない群のほうが絵を提示した群よりも成績がよかった。また, 低熟知語を用いて文字の読みを学習した群では, 絵有り群と絵無し群の間には有意差が認められなかった。
実験IIの目的は, 低熟知語を用いて文字の読みを学習する時の, 絵画化と言語化の効果を検討することであった。被験者は5歳児72名と小学校1年生72名であった。彼らは, 絵画化の有無, 言語化の有無の条件に基づいて4群に配置され, 各被験者にハングルで書かれた単語5個の読みが教えられた。その結果, 絵画化有り条件で学習した被験者は, 絵画化無し条件で学習した被験者よりも正答数が多かった。また, 言語化有り条件で学習した者は, 言語化無し条件で学習した者よりも成績がよかった。幼児と小学校1年生の間には成績の差がなかった。以上により, 絵画的熟知化と言語的熟知化には, 低熟知語の読字学習を促進する効果のあることが示唆された。

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