教育心理学研究
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「空書」行動の出現と機能
表象の運動感覚的な成分について
佐々木 正人渡辺 章
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1983 年 31 巻 4 号 p. 273-282

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抄録

本研究は, 日本人の行動として広く観察される, 単語等の想起時における書字行動 (「空書」と記す) の同定と, その機能の実験的解析を目的として行われた。女子短大生を被験者とし, 漢字字形素統合課題を用いた2つの実験から, 以下の知見が得られた。
I. 空書行動の出現とその形態
1. 漢字字形素統合課題の解決中に105名の被験者のほぼ全ての者に空書が出現した。
2. 空書には2つの行動形態が存在する。第1は, 何らかの書字面をもち, その書字過程が凝視されるタイプで, 第2は, 書字面をもたない, 身体前面の空間への書字というタイプであった。
II. 空書行動の機能字形素を異なるモダリティーで (視覚的, 聴覚的) 提示する事態で2つの空書許可条件及び空書禁止条件のパフォーマンスが比較され, 以下の結果を得た。
1. 書字面のあるタイプの空書には, 両提示条件で, 高い正答を導く効果があった。
2. 書字面をもたないタイプの空書は, 字形素が視覚的に提示される事態でのみその効果があらわれた。
以上の結果が, 表象の運動感覚的な成分が空書を導くとする仮説及び, 外顕的行動による意識過程の統制という2つの観点から論議された。

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