教育心理学研究
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現代青年の充実感に関する一研究
現代日本青年の心情モデルについての検討
大野 久
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1984 年 32 巻 2 号 p. 100-109

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抄録

本研究は, 現代青年の充実感の構造が, 西平 (1979) の現代日本青年の心情モデルに示された構造をもつか否かを知ることを目的とした。そのために, 大野 (1980) で現代青年の充実感を測定するために使用した尺度に, それまで含まれていなかった自立一甘えの項目群を新たに作成, 追加し, 調査, 分析を行った。
本研究で得られた結果は, 以下のとうりである。
(1) 充実感気分-退屈・空虚感の次元と自立一甘えの次元の間には, 相互にかなり高い相関がある。
(2) 現代青年の充実感は, 充実感尺度の因子分析によって, 西平の心情モデルに示された構造をもつことが支持された。さらに, 心情モデルの内容は以下のように拡大された。すなわち, 現代青年が, 自我同一性の各側面と考えられる自立・自信, 連帯, 信頼・時間的展望をもつ場合, 充実感気分を感じ, 甘え・自信のなさ, 孤立, 不信・時間的展望の拡散をもつ場合, 退屈・空虚感を感じる (内容の拡大された心情モデル;FIG.2) 。
(3) 充実感気分-退屈・空虚感は, 時系列に調査を実施した場合, 他の因子と比較して得点が不安定であり, 自立・自信-甘え・自信のなさ, 連帯一孤立, 信頼・時間的展望-不信・時間的展望の拡散は, 充実感気分-退屈・空虚感に比較して安定している。

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© 日本教育心理学会
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