教育心理学研究
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学級集団の大局的構造の変動と教師の指導行動, 学級雰囲気, 学校モラールに関する研究
楠見 幸子
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1986 年 34 巻 2 号 p. 104-110

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抄録

本研究は, 学級集団の大局的構造の変動をソシオメトリック・コンデンセーション法によって把え, さらにこれに関わる要因として, 教師の指導行動, 学級雰囲気学校モラールとの関連を明らかにするものであった。
調査対象は, F県内の公立中学校の1, 2, 3年生, 合計22学級 (男子425名, 女子382名) で, 調査は集団面接法で行った。
約半年の間隔でソシオメトリック・テストを実施し, この結果にソシオメトリック・コンデンセーション法を適用して大局的構造を把握し, これを集中性次元で高低2水準で分類し, その変動パターンを男女別に検討した。
三隅ら (1977) の教師の指導行動に関する測定尺度と学校モラールに関する測定尺度, および吉崎・水越 (1979) の学級雰囲気に関する測定尺度をいて, 大局的集団構造の変動との関連について検討した。主な結果は, 次の通りである。
(1) 構造変動に関しては, 男子は集中化構造へ向かって変動し, 女子は分散化構造が大半を占め, 変動がほとんどみられなかった。
(2) 集中化構造から分散化構造へ変動した学級および分散化構造のままであった学級において, 教師の指導行動を高く評価していた。
(3) 女子は男子に比べて, 総じて学級に対する満足感が高く, この面で顕著な性差がみられた。
(4) 集団構造に変動がなかった学級において規律遵守得点が高く, 学級にまとまりを感じていることが見出された。

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© 日本教育心理学会
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