教育心理学研究
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幼児の同一・差異学習における移行学習
Houseらの連鎖注意モデルとBowersのルールモデルの検討
中川 恵正
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1988 年 36 巻 4 号 p. 333-338

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抄録

本研究は幼児を対象にして同異学習においてルール学習と次元学習のいずれが優先されるかを検討したものである。
実験1では, 320名の幼児を用いて, 2 (原学習の種類: 同一学習78.差異学習) ×2 (過剰訓練: Ovs.12試行) ×4 (移行条件: S-Svs.SDvs.D-Svs.D-D) の要因計画を用いて, ルール学習と次元学習の優位性を比較検討した。その結果, S-D群はD-S群より速く移行学習を完成した。過剰訓練は原学習が差異学習の場合, 全体として後続の移行学習を促進した。過剰訓練は, 原学習の種類に関係なく, S-S群とS-D群の移行学習を促進した。
実験2では, 90名の幼児を用いて, 2 (学習の種類: 同一学習78.差異学習) ×3 (言語化条件: RVvs.DVvs.NV) の要因計画を用いて, ルール学習と次元学習のいずれが優先されるかを検討した。その結果, 同一学習と差異学習のいずれにおいても, RV群はDV群に比べて学習を速く完成した。
以上のような結果は, 幼児の同異学習においては, ルール学習の方が次元学習よりも優先されることを明らかにしている。さらに過剰訓練は次元よりもむしろルール学習を強化することが明らかにされた。

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© 日本教育心理学会
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