教育心理学研究
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説明文理解における要点を表わす図表の役割
岩槻 恵子
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1998 年 46 巻 2 号 p. 142-152

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抄録

本研究では, 説明文の理解に文章の要点を示した図表がおよぼす影響について検討した。薬の知識のない大学生に, 架空の薬の種類と各薬の特徴について説明された文章を読ませた。その際, 文章の要点をまとめた図表 (樹形図と表) を付加する群, 効果を比較対照するものとして図表を文章形式に書き直した要約文を付加する群, 文章のみを読む群を設定した。図表の効果をより正確に把握するため, 説明文のタイプを考慮に入れ, 同じ内容だが構成の異なる2つの説明文を用い, 文章の構成に拘わらず図表による影響があるかどうかを検討した。文章のタイプとして薬別に特徴を説明する構成の薬別説明文乳特徴別に薬間の関係を示す構成の特徴別説明文を用いた。実験1では, 文章のタイプに拘わらず, 図表と要約はともに要点の情報の再生を促進することが示され, 図表や要約という要点を表わす補助は要点の情報に読み手の注意を向けさせることが示唆された。さらに図表は要約よりも各文章で明示的に書かれていない関係を補って再生することが示され, 図表が2次元の形式で情報を表わしていることによる有効性が示された。実験2では, 再認課題により実験1の結果が追認された。さらに文章タイプに拘わらず, 文章から得た情報を利用することを求めた応用問題で図表は要約よりも促進効果があり, 図表が深い理解にも関わっていることを示唆した。図表は2次元の形式を用いて情報を位置的に表わしているため, 文章中で明示的に書かれていない関係を表わすことができるという特性があり, 文章よりも暗黙の関係を明示化するための推論や事実の計算の効率が良いと考えられる。この利点より, 図表は要約よりも説明文の理解を促進したと考えられる。

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© 日本教育心理学会
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