外国語の語彙の獲得はその重要性ほどには研究がみられない領域である。ここでは外国語の語彙の獲得を自然概念の獲得の問題として考える。実験1では語彙の学習にはその語の語源的な知識の活用, すなわち派生関係の推論が有用であるという仮説の当否を検討した。実験参加者は外国語としての英語単語となじみのある訳語・新しい訳語を与えられた。90人の実験参加者を派生関係の推論を行う群・イメージを生成する群・頻度を判断する群に無作為に割り当てたところ, 派生関係の推論を行った実験参加者の群が最もよく新しい訳語を再生した。実験2では, 実験1においてよく再生された標的語では訳語どうしが自然なクラス包含陳述を構成していたことが示された。この結果は新しい教授方法に対する含意をもつとともに, 比喩的言語理解研究が外国語理解研究に役立つ可能性を示している。