教育心理学研究
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非母語話者との会話における母語話者の言語面と意識面との特徴及び両者の関連
日本語ボランティア教師の場合
一二三 朋子
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1999 年 47 巻 4 号 p. 490-500

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抄録

本稿の目的は, 日本語非母語話者との会話における, 母語話者の言語的処理及び内的処理の特徴を明らかにし, その関連を検討することである。母語話者同士, 母語話者・非母語話者を, 2人1組とし, 2つの話題で行わせた会話の録音資料と母語話者に対し行った質問紙調査を分析する。録音資料をカテゴリーに分類し, 出現頻度を換算, 対話者×目的の2要因分散分析を行った結果, 対話者が非母語話者のとき'情報要求と意味交渉, 母語話者のとき情報提供, 意見, 評価が, 有意に出現頻度が高かった。質問紙調査結果を分散分析した結果, 対話者が非母語話者のとき主導的役割の必要性, 母語話者のとき会話を楽しむ気持ちが, 有意に高く認知されていた。また, 会話中の配慮に関する因子の因子得点を分散分析した結果, 対話者が非母語話者のとき会話を円滑に進める配慮, 母語話者のとき自己表現を積極的に行う配慮が, 有意に高かった。最後に, 相手及び自己の発話カテゴリー, 質問紙評定値, 因子得点を用い重回帰分析を行った結果, 相手の情報要求, 評価, 相槌と内的処理, 相手の日本語レベル, 親密度と自己の発話との関連が明らかになった。

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© 日本教育心理学会
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